東京道中4日目

最終日(3月20日・月曜日)


いつ寝たのかは分からない。いつ起きたのかも分からない。
その場にあったアルコールにも手をつけず、クイズもせず、ひたすら喋っていた。
たくさんの人と話した。それが何よりよかった。


帰宅、というより旅立ち。
駅まで歩く。話したり、ボーっとしたり。とにかく、名残惜しかった。
もっと話したかった。
雑談の中に、心にしみる一言。


小田急は恙無く走る。誰のことも顧みず、思考の入る余地もなく。
混雑する車内。近づくターミナル。
まだ、この場にいたかった。でも、どうしても、帰るべきでもあった。
僕の家は東京にはない。東京を選ばなかったことを後悔した、わけでもないが。
もし東京に住んでいたら、これまでのこと全てが違っていただろう。
出会うべくして出会い、別れるべくして別れる。そういうものなのだろう。


一人、新宿駅のJR連絡口を通る。たくさんの人に見送ってもらう。
僕の目的地は、実家だ。


帰りは湘南新宿ラインを選んだ。とにかく乗換えを減らしたかったから。
荒川を越えてからはしばらく寝ていた。小山で水戸線へ。
4両編成の昼下がり。友部、水戸、いわき。


最後はデッキのある編成。そして、いつものようにモーターのない車両に乗り込む。
高校時代、幾度となく通った線路。
結局いつ乗っても、思い出に浸ってしまうのには変わらなかった。
新しい出会い。乗り遅れそうになって、息せき切って駆け込んだあの時。
考えていた将来を見失い、悩んだ時。
そして、決意。


何が欠けても、こうはならなかったのだろう。
電車で教科書を眺めていた朝であろうと、失意の帰り道であろうと。


ひょんなことから出会った、たくさんの人たちへ。
何を言っても、全てを言い切れる気はしない。
でも、本当に、あなたたちがいなければ、今の僕はありません。
東京の結論を出せるかは分からないけど、とりあえず、先に進めれば。